女性における狭心症・心筋梗塞の特徴
●閉経後に増加する狭心症・心筋梗塞
心筋梗塞は男の人の病気でしょ?」、「私の周りには女性の狭心症の人はいないわ」。確かに狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患になる人の数は男性の方が多いのが現状です。ところが、これは生活習慣の乱れなどから、男性のほうが30代など若いときから発症するため。実は閉経後は、女性も急激に虚血性心疾患のリスクが高まり、80歳以上の高齢での死因ではむしろ男性を上回るのです。男性の発症と比較して女性の発症は5〜10年ほど遅くなるという特徴があります。
閉経前は、女性ホルモンのうち、特にエストロゲンが動脈硬化を抑えるはたらきを持つため、糖尿病や高血圧あるいは極度の肥満でない限り、虚血性心疾患にかかることははごくまれです。ところが閉経後にエストロゲンが減少すると、この動脈硬化防止の装置がはたらかなくなるため、女性もそのリスクにさらされるのです。閉経後に虚血性心疾患になるかどうかは、それまでの生活習慣が大きく影響してきます。脂っこいものばかりを好んで食べていたり、喫煙習慣があったりする場合はリスクも高くなります。
●女性に特徴的な症状や傾向は?
アメリカの研究では、女性に狭心症の発作が起こる際の特徴として、通常いわれている労作時(動いたとき)よりも、むしろ普通に行動しているときや、精神的ストレスを感じたときに胸痛を感じることが多いというデータがあります。また同じ研究の心理テストで、女性で虚血性心疾患になっている人は、男性よりも、うつ、不安状態などが高く、心理的状態と大きく関係しているようです。
別の調査では、女性の心筋梗塞の発症は、離婚した、未亡人である、という人に多いことも報告されています。
女性の場合65歳以上になると、HDLコレステロール(善玉コレステロール)が低いと同じ年代の男性よりも虚血性心疾患のリスクがより高まります。また、高齢の女性において中性脂肪が多いことは、同年代の男性よりも明らかに危険度が高まるようです。
●女性は我慢強い!?
女性の患者さんで狭心症が発見されるとき、冠動脈の複数の箇所で血管が狭くなっているなど、重症になって見つかるケースが多いようです。これは女性の方が、痛みに対して男性より我慢強いからかもしれません。ただし、病気に関しては、我慢することで良いことはありません。治療が遅れ、その間にどんどん病気が進行してしまいます。いずれにしても、若いときから生活習慣に気をつけ、異常を感じたら、すぐに専門医に相談しましょう。発見が早ければ早いほど、負担が少なく治る確率も高まるのです。
参考書籍 天野恵子、山口徹編 : 性差からみた女性の循環器疾患診療, 2006, メジカルビュー社 
Copyright c 2008 heart care All Rights Reserved