心房細動の治療

薬物療法と非薬物療法の2種類を紹介します。

薬物療法と非薬物療法の2つがあります

心房細動の治療には、大きく分けてお薬の服用による「薬物療法」とカテーテル治療などの「非薬物療法」とがあります。
薬物療法は合併症を防ぎながら心房細動と上手に付きあっていくために、様々な薬剤から選択していきます。

薬物治療は、大きく分けて3つの種類あります。

1. リズムコントロール薬(心房細動を予防したり、止めたりするお薬) 抗不整
脈薬
2. レートコントロール薬(心房細動は心拍数が上がりやすい為に心拍数を下げる薬)
3. 抗凝固薬(脳梗塞発症予防)です。    

リスクに応じて使い分けます。

合併疾患のある人(高血圧、糖尿病など):
治療を同時並行で行います。また肥満の方は食事、運動などの調整しながら、体重を落とすことで改善する場合があります。あるいは飲酒過多の方では飲酒を適度な量に制限するといったことも必要でしょう。

合併疾患がない人:
治療法の選択の上で自覚症状がどのくらいあるかが重要です。あとは脳梗塞のリスクファクターや年齢によっても治療法の選択はかわってきます。

まず内服の治療が第一選択となりますが、どういう患者さんにどういった薬を使うかといいますと、自覚症状が強ければ、抗不整脈薬を使っていきます。
脳梗塞リスクのある方は、抗凝固薬を使っていくことになります。

脳梗塞リスク評価には図1を用いることが増えています。

(図1)脳梗塞発症のリスク評価(CHADS2スコアにおけるリスクと配点)

うっ血性心不全
高血圧症
年齢(75歳以上)
糖尿病
脳卒中既往

各リスク1つにつき表に記載しているとおりに1点もしくは、2点を加算します。リスクが2点以上になった場合は、抗凝固療法を推奨します。1点の場合はワルファリンによる抗凝固療法を考慮するか、ダビガトランという新しい抗凝固薬(直接抗トロンビン薬)を推奨します。

まず薬物療法で心拍数のコントロール、心房細動の予防、脳梗塞の予防といった治療を行い、それでも心房細動のコントロールができない、あるいは自覚症状が強い、または薬物療法の薬を飲みたくないといった場合に、根治療法のカテーテルアブレーションの治療を検討します。

カテーテルアブレーションとは ~心房細動の根治療法~

カテーテルアブレーションのメリットは、薬物治療と異なり不整脈の根治が期待できます。また、根治ができない場合でも症状が軽減する可能性が高まります。

心房細動のカテーテル治療は、心房細動のきっかけとなる異常な電気信号を伝わらなくするために、心筋の一部を高周波を使って小さなやけどを作り、その部分に電気が通らないようにする治療法です。外科治療と異なり開胸の手術ではなく負担が低いために、治療後は早期に日常生活が可能となります。

カテーテルアブレーション治療を検討する場合
自覚症状があって、抗不整脈薬が効かない心房細動の患者さんはカテーテルアブレーションの適応になります。
心房細動は進行していく性質があり何年も放っておくと治らなくなってしまいます。早めに専門医に受診しましょう。

カテーテルアブレーション治療について
直径2mm程度の管(カテーテルといいます)を使って、首の近くや、鎖骨近く、もしくは足の付け根などの静脈から血管をたどって心臓の中にたどり着きます。心臓の中で異常な部分に高周波を使って小さなやけどを作ります。心臓は電気で収縮運動を行っていますが、心房細動ではきっかけとなる異常な電気が肺静脈という肺から左心房に帰ってくる血管から出ることが多く、この電気を肺静脈の周囲に熱を加えて、左心房に伝わらなくします。この方法を「肺静脈隔離」(図1)といいます。
入院は1週間弱必要となります。

この治療の成績は、発作性心房細では、 1年間でみると、1回目で70-80%、2回目以上で90%です。また、持続性心房細動の方は1回目で 50%、2回目以上75%の成績となります。
(BRAUNWALD’S HEART DISEASE A textbook of Cardiovascular Medicine;Ninth Edition:833)

治療後に再発をした場合でも、発作回数が減ったり、これまで利かなかった薬が効くようになったりします。また中には、他の不整脈の一つである心房頻拍となり、自覚症状としてはより強く感じる場合もありますが、こういったケースは2回目の治療で治ることが多いです。

アブレーションの治療での合併症
カテーテル治療で合併症が起こることがあります。
カテーテルアブレーションを検討する場合は主治医によく相談しましょう。

・心タンポナーデ
心臓に小さな傷ができてしまい、心臓周囲に血液が漏れ出すことで、血圧が低下することが1%前後あります。この場合胸の下の方から管を入れ溜まった血液を抜く処置などで対応します。
場合によっては開胸手術で対処することもあります。

・脳塞栓症
カテーテルアブレーションによる脳塞栓症のリスクがあります。ごくまれであり0.3-0.5%といわれています。

・血管や心臓周囲の食道、神経を傷つける
血管に管を通す際の内出血や、心臓で熱を加えていて心臓の裏側にある食道にも熱が伝わると炎症が起きて食道潰瘍になったり、また胃の動きをコントロールしている迷走神経を障害することで、胃のはたらきが悪くなり食事が取れなくなるといった合併症が起こることも稀にあります。