ドクターズコラム

ハートケア情報委員会のドクターが狭心症・心筋梗塞の治療法など、狭心症・心筋梗塞に関するさまざまな情報をお伝えします。

第36回 いきなりの運動は心臓にとって負担!?

埼玉県川越市 平成クリニック理事長 高山 泰雄

●異動の時期ですが、狭心症や心筋梗塞になる人が比較的多く見受けられる職業はありますか?

埼玉県川越市 平成クリニック理事長 高山 泰雄 「この仕事が特に」というのは一概にはいえませんが、心臓病の大きな原因はやはりストレスです。仕事に関わらず、プライベートでも何でもいらいらして、ストレスがたまっている状態というのは血圧に悪影響を与え、結果的に心臓病を引き起こしやすくなります。ストレスがなさそうに見えても、実は少しずつ溜まっていって一気に噴き出るということもあります。こういった場合は、血管だけでなく精神的にもダメージになります。
 ストレスの影響は血圧を上げるなどの直接的なものだけでなく、アルコール依存や摂食障害などをまねきます。血圧の上昇に加え、過度のアルコールを摂取する状態が続くと、心臓をはじめ体のあらゆる器官にダメージを与えることは容易に想像ができますね。
 一例ですが、海外の研究によると、長時間の運転・顧客の困った行動・度重なる信号待ち・不規則な生活時間など、ストレスの溜まる状況におかれやすいタクシーの運転手には、心臓突然死の率が他と比べて高かった、とするものがありました。ただ、現代は特定の職業にかかわらず、多くの人が目まぐるしく変わる環境の中、パソコンや携帯電話に囲まれ、24時間仕事のことを考えることを強いられています。その上、勤務先の業績悪化や失業の恐れなど、なかなかストレスから解き放たれるときがありません。ストレスによる心臓病は一種の現代病ともいえるでしょう。ただ、その中でも自分がリラックスできる環境や時間をつくる努力をしてみてください。


●ストレス発散が難しい中、始められることがあったら教えてください。

 まずは、生活のパターンをあまり変えないということです。起床・就寝・食事など、なるべく同じ時間にすることが体のリズムをつくっていき、心臓病の予防にもなりえます。
 歓送迎会の多いこの時期、どうしても生活のパターンは崩れやすくなります。例年この時期になると、私のところにも不整脈の患者さんが増えるように思われます。お酒を飲む機会が多いこの時期、多量の飲酒に加え、睡眠不足に陥るなど不規則な生活をきっかけとして、狭心症や不整脈などの心臓病を発症する人が少なくないのです。危険因子が重なれば、若い人であっても心臓病の例外ではありません。ある日突然、心筋梗塞で病院に運ばれることもあるのです。
 当り前のことだけに気にかけない生活習慣ですが、積み重ねることで良くも悪くも将来的に影響を及ぼします。ぜひ“生活習慣を整える”ということを気にかけてみてください。


●この時期に、運動をするのに気をつけるべきことがあれば教えて下さい。

 ご近所の人に誘われたり、テレビで紹介されていたりで「運動をはじめよう」と思われる方もいらっしゃるでしょうが、寒い時にはじめるのは避けた方がよいでしょう。運動の習慣がない人が、寒い時期に急に運動をはじめることは、運動の効果よりもリスクの方が高まることがあります。春や初夏など温暖な時期にはじめるほうが、心臓など体への負担は少なくなります。温かい時期からはじめて少しずつ体を慣らし、そのまま秋・冬と継続していけばよいのです。それでも冬は、温かい時期よりは負荷がかかりますので、少し運動量を減らしてもよいでしょう。「寒くて食べ過ぎているから、ちょっと多めに運動しよう」とがんばりすぎてしまうと、続かないばかりか、効果を通り越して悪影響となる危険性が高くなります。なお、最近の論文に発表されていますが、運動の時間は30分を目標にしてください。
 さほど負荷がかからないと思われるラジオ体操やウォーキングも、寒い時期にはじめるのは避けましょう。雨や雪など、天気の悪い日まで無理にすることはよくありません。季節の変わり目などの気温の変わりやすい時期には、よく注意を払いながら運動をしてください。


■関連リンク:>
第26回 運動と体内の塩分と水分の関係は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_19.php
歩いてボランティア、適度な運動は心臓にもマル!|ニュース|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/news/article/post_65.php


埼玉県川越市 平成クリニック理事長 高山泰雄
【プロフィール】
群馬大学医学部卒業。
群馬大学医学部付属病院第二内科、同大学院医学研究科、東京
女子医大心臓血圧研究所内科、立正佼成会付属佼成病院麻酔科、
榊原記念病院内科、米・スタンフォード大学病院循環器内科留学を
経て、1989年、医療法人社団平成クリニックを開設。
循環器疾患を専門に地域医療に従事。

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