ドクターズコラム

ハートケア情報委員会のドクターが狭心症・心筋梗塞の治療法など、狭心症・心筋梗塞に関するさまざまな情報をお伝えします。

第34回 睡眠・食事、特に若い心臓病患者さんの特徴とは?

財団法人心臓血管研究所所長 相澤忠範

●新年の抱負もそろそろ忘れる時期で、不摂生を繰り返す人も多くなると思われますが、若い人の心臓病の特徴を教えてください。

財団法人心臓血管研究所所長 相澤忠範 若くて心臓病になる患者さんは、身内に心臓血管病をもっている方がいらっしゃるなど、もともと家族歴がある方が多いです。それに加え、アメリカンファーストフードに代表される、高カロリーでかつ動物の肉を主体とした食事をしているケースがほとんどです。家族歴に加えて、脂肪酸とくに飽和脂肪酸の多い食事というのが心臓病の大きな引き金になっていると考えられます。飽和脂肪酸は、悪玉コレステロール(LDL)や中性脂肪を増やし、積み重なっていくと動脈硬化の原因のひとつになるのです。さらに、長時間の仕事による運動不足、ストレス、いつも仕事のことで頭がいっぱいになってしまう、という方は極めて危ない傾向が見受けられます。実際、若くて心臓病にかかる方は、遺伝性のものでなければほとんどのケースで太っている方です。痩せていても心臓病になってしまったという方は、かなり遺伝的な要素が強い方といえるでしょう。


●早寝、早起きも心臓病によい影響をあたえるのですか?

 睡眠はその長さだけでなく、時間帯が非常に重要です。人間の体のリズムは、太陽と同じように動くほうがやはり良いのです。昔の人は、照明の技術がなかったこともあり、本当に太陽が昇るのとともに起き、沈むと同時に床に就いたものでした。自然の原理にかなっている早寝早起きの習慣は心臓だけに限らず、体に良い影響を与えるでしょう。
 適切な睡眠時間というものは、睡眠の質によります。一般的には7時間といわれていますが、5~6時間で十分という人もいれば、8時間くらい寝ないとすっきりしないという人もいます。
 肥満の方の場合、睡眠時無呼吸症候群の傾向がでます。睡眠時無呼吸症候群になると、睡眠中に息が止まってしまうため、苦しくて途中で目が覚めるため睡眠の質が著しく低下する上、呼吸が不十分なことから、心臓に非常に負担がかかります。これが長期にわたると、まだ若いうちから心臓が傷むことになります。一概に時間だけではなく、トータルで質の高い睡眠を確保するようにすることが大切です。
 睡眠時無呼吸症候群による睡眠障害や飲み過ぎなどでなければ、12時に寝て6時に起きれば、基本的にはすっきりするでしょう。理想的には、7時間程度の睡眠を確保し、11時に就寝・6時起床あるいは、10時に就寝・5時に起床という生活習慣が整うといいですね。


●カロリーを気にしていれば、何を食べても大丈夫ですか?

 当然のことながら、食事はカロリーのみならず、内容に気をつけることがやはり重要です。最近は男性にもファンが多いようですが、甘くておいしいデザートにしても、ケーキと和菓子では内容が違います。たまにはいいですが、毎日のように食べて重なるとやはり問題になってきます。
 カロリーとしては同じであっても、動物の肉や乳製品をはじめとする飽和脂肪酸やトランス脂肪酸を多く含む食品の摂り過ぎは、動脈硬化を引き起こす原因となります。同じタンパク質や脂肪を摂るのであれば、やはり青魚など不飽和脂肪酸を含む食品の方が血管や心臓には断然よいのです。
 脂肪の質について、世界で最初に注目が集まったのは、エスキモーの人々の食生活と彼らの健康状態を調べたところ、主にアザラシなどの肉を主食としているのにも関わらず、彼らに心血管系の病気がない、ということへの疑問からでした。調べてみると、魚を食べているこれらの動物の脂肪は、なんとEPAなど不飽和脂肪酸の宝庫であったのです。つまり、エスキモーの人々は、アザラシなどを食べることによって、間接的に青魚を食べるのと同じ効果を得ていたということだったのです。
 また、学会でも話題になりましたが、日本人はまだまだ塩分を摂りすぎています。平均で14g摂取しているとのことですが、やはり10g以内に抑えるべきでしょう。アメリカでは10g切っており、塩分という面では合格です。ただし、脂質の摂り方に関しては、日本人の方が良いといえるでしょう。
 生活習慣病のひとつである日本人の高血圧がなかなか減らないのは、塩分の摂取量がなかなか減らないのが一因と考えられます。脂肪の摂取量では合格点ですので、減塩も積極的に取り組みましょう。


■関連リンク:
第3回 最近の患者さんの傾向|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/3.php
第1回 狭心症・心筋梗塞とは|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/1_2.php
第18回 ストレス社会における心臓病|ドクターズコラム
http://heartinfo.jp/column/article/post_11.php


財団法人心臓血管研究所所長 相澤忠範
【プロフィール】
福島県立医科大学卒業。東京医科歯科大学医学部付属病院、平塚市民病院循環器内科を経て、1979年から(財)心臓血管研究所付属病院勤務。2005年より、同研究所所長。
大学卒業以後40年間、心臓カテーテル検査および治療に従事。虚血性心疾患における心臓カテーテル治療、冠動脈インターベンションに造詣が深い。

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