ドクターズコラム

ハートケア情報委員会のドクターが狭心症・心筋梗塞の治療法など、狭心症・心筋梗塞に関するさまざまな情報をお伝えします。

第28回 海外旅行の際の心臓病への準備は?

財団法人心臓血管研究所所長 相澤忠範

●飛行機の中や渡航先で急に狭心症になった場合は、どうすればいいでしょう?

財団法人心臓血管研究所所長 相澤忠範 まだまだ円高が続いていますので、夏休みを利用して海外に行かれる方も多いでしょう。その場合、薬などの事前準備を十分にしておくことが大切です。
 飛行機の中で一番問題なのは、身動きが取れないということです。エコノミー症候群でよく知られていますが、ずっと座ったままでいると、足(脚)の静脈の血液の流れが滞って血栓が作られやすい状態になり、肺梗塞の原因となります。姿勢を変えず、じっとしていること自体がリスクになりますので、飛行機の中はできるだけ定期的に歩きまわるようにしましょう。「狭い機内で迷惑では?」と思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、外国の方もよく歩いています。遠慮せず、動いてください。
 飛行機の中はほかの乗り物と違って気圧が変わるということもあり、自律神経のバランスが崩れ、乗り物酔いしやすくなります。この自律神経の問題がきっかけとなって、心臓発作を起こすことがあります。また、十分な水分を摂らないと脱水状態になり、発作を誘発することになりますので、遠慮せず飲みもののサービスは申し出ましょう。ただし、アルコールの飲みすぎは、脱水症状をまねきます。気圧の変化も加わり酔いやすい状態になり、血圧も上がり気味になります。くれぐれも飲みすぎないように注意してください。
 胸が苦しくなったら、当然のことながら、必ずキャビンアテンダント(添乗員)に申し出てください。乗客の中に医師がいるか確認してくれますので、応急の処置を受けることができます。
 街などの渡航先で、息苦しさや圧迫感など狭心症の典型的な症状が出た場合、あるいは、すでに心臓病をもっている人で薬を飲んでも治らないといったケース、また、心筋梗塞によくみられる、長引く胸部症状、歩けなくなる、冷や汗がでるといった場合は、病院に行こうとせず救急車を呼ぶべきです。救急車を呼ぶことを“emergency call”(エマージェンシー コール)と言います。救急車は“ambulance”(アンビュランス)と言います。


●英語があまり得意ではないのですが、海外旅行中に病院にかかる場合はどうすればいいでしょうか?
 海外にお一人で行かれることは、そんなにないと思いますが、同行者に英語が話せる人がいなければ、身ぶり手ぶりで伝えるしかありません。病気である、調子が悪い“sick”(シック)、救急車“ambulance”(アンビュランス)という言葉は最低でも覚えておいて、いざというときは、身ぶり手ぶりで苦しいことを表現して伝えられるようにしましょう。
 尚、旅行先では何が起こるかわかりません。ご自分を健康であると思っている方でも、保険に入っておくことをお勧めします。万が一、医療サービスを受けた場合、海外の費用は非常に高額です。当然のことながら、国内ではないため健康保険も適用されません。最近では、旅行保険もいろいろと種類が増えているようですので、ご自身の目的に合ったものを選んで入っておけば安心です。渡航先で病院にかかっても、保険にさえ入っておけば、あとは自動的に保険会社が手配してくれます。そうでないと、驚くような高額な請求がなされます。日本とは勝手が全然違いますので、あらかじめ調べておくようにしましょう。ただし、現場で急病になったけれども、保険に入っていなかったので救急車を呼ぶのをやめる、というのは本末転倒です。まずは、生命を優先しましょう。
 尚、緊急の際、現地に知っている人がいない場合は、領事館に手配を依頼するのが一番安心です。


●あらかじめ日本の先生に心臓病であることを書いてもらって携帯することなどできますか?
 心臓病にかかっている人は、海外旅行の際、当然の準備として、かかりつけ医に英文で、病名・簡単な病歴・現在の処方内容を書いてもらいましょう。そして、常に携帯していることが重要です。
 薬というと日本では、“drug”(ドラッグ)と言ってしまいますが、これは麻薬か何か、怪しい薬と間違われます。誤解されて、牢屋に閉じ込められてしまうかもしれません。薬というときは必ず
“medicine”(メディシン)と言うようにしましょう。このように万が一の場合に、必要となる単語は事前に書いて準備しておくといいですね。

覚えておくとよい例文
・救急車を呼んでください。
Please call an ambulance.(プリーズ コール アン アンビュランス)
・胸が痛みます。
I have a pain in my chest.(アイ ハブ ア ペイン イン マイ チェスト)
・心臓病の薬を飲んでいます。
I’m taking cardiac medicine.(アイム テイキング カーディアック メディシン)


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第30回 かかりつけの先生が休診の場合は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
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財団法人心臓血管研究所所長 相澤忠範
【プロフィール】
福島県立医科大学卒業。東京医科歯科大学医学部付属病院、平塚市民病院循環器内科を経て、1979年から(財)心臓血管研究所付属病院
勤務。2005年より、同研究所所長。
大学卒業以後40年間、心臓カテーテル検査および治療に従事。虚血性心疾患における心臓カテーテル治療、冠動脈インターベンションに造詣が深い。

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