第22回 心臓病の検査 実際に受けると・・・
財団法人心臓血管研究所所長 相澤忠範
●心臓病になると脳梗塞にもなりやすいと聞いたことがあるのですが、それ以外にも併発しやすい病気などありますか?
心臓病、その中でも特に狭心症や心筋梗塞などの冠動脈疾患というのは、全身性のアテローム(コレステロールなどの脂質が蓄積した病変組織)血栓症の部分症であるということです。血管は全身でつながっていますので、心臓にとどまらず、他の血管にも影響を及ぼします。やはり、一番多いのは脳血管障害ですが、大動脈のアテローム変化によって生じる動脈瘤、最近増えている脚(足)の血管が狭くなる下肢の動脈疾患も、冠動脈疾患と併発しやすいアテローム血栓症といわれるもので相関関係があります。
●心臓病になりやすい家系、がんになりやすい家系など遺伝というのは大きな要素なのでしょうか?
家族は生活環境が非常によく似ています。がんは遺伝子的要素が強いと思われますが、心臓病はより生活習慣によるところが大きいです。つまり、生物学的な遺伝ということもありますが、それ以上に肉や脂肪分の高い食事を好む、運動をしないなど生活環境や習慣が"遺伝する"ということです。心臓病の他に大腸がんもなりやすい家系というのがありますが、生物学的な遺伝に加えその食事の内容を見てみると、肉食が多いなど家族で食事が似ていることがしばしば見受けられます。また、私の患者さんにもいらっしゃいましたが、家系に心臓病の人がいなくても、長期で海外に住み食生活をはじめとする生活習慣が変わると、心臓病にかかることがあります。つまり、単純に遺伝といっても、遺伝子に関する問題と同時に生活習慣が影響すると考えられるのです。
●塩分控えめを心がけていますが、高血圧気味です。心臓病のリスクはありますか?
狭心症や心筋梗塞といった虚血性心疾患において、やはり高血圧は強いリスクファクターです。食塩の取りすぎが日本人の高血圧の圧倒的なリスク要因であったことは事実ですが、すべてが食塩の取りすぎとは限りません。体質的に食塩を控えめしてもでも高血圧になることもあります。減塩し、適度な運動をし、なおかつ太っていないにも関わらず血圧が高い場合は、薬を使用した方が心臓病のリスクは減るでしょう。高齢になれば、当然ながら動脈の弾力性が低下するため血圧は上がる傾向にあります。最近は、高血圧の薬がとても良くなってきていますので、適切にコントロールすれば心臓病のリスクを抑えることも可能になってきています。
血圧が高い人が多いという状況は、めまぐるしく変化する現代のストレス社会ではなかなか避けられないという一面もあります。生活習慣を変えてもなお改善が難しいという場合は、薬を活用する方が将来のリスクを考慮すると良いでしょう。
●タバコをなかなか止められないのですが、喫煙は心臓病にはどのようなリスクがありますか?
虚血性心疾患のリスクファクターである喫煙は、実はストレスとも関係しています。ストレスが溜まるとその発散としてタバコを吸いたくなる、そして、ストレスを感じるたびに吸わずにはいられなくなり、ますますやめられなくなるという悪循環です。しかし、ストレスが軽減されるからといって、タバコを吸って体に良いことはありません。タバコに含まれるニコチンによって、血管は収縮し、血管の一番内側にあり血液と接する内皮は障害され、結果的に血圧が上がることになるのです。ですから、タバコを吸ってストレスを解消するメリットと心血管やがんなどの悪性腫瘍になるデメリットを天秤にかけると明らかにデメリットが大きいです。喫煙により、心血管をはじめ発がん性においてもリスクが高くなることは、さまざまなデータでも現れています。同じ嗜好品であっても、1日1合以内の少量のアルコールは心血管予防にメリットがあります。ただし、量を増やし過ぎると高血圧を引き起こします。適量を守り美味しく楽しくお酒をたしなんでください。
■関連リンク:
第21回 食生活が動脈硬化の進行を左右する 気をつけたい食事は?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_14.php
第24回 気になる"タバコ"の心臓への害とは?|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_17.php
第15回 喫煙と心臓病の関係|ドクターズコラム|ハートケア情報委員会
http://heartinfo.jp/column/article/post_8.php

【プロフィール】
福島県立医科大学卒業。東京医科歯科大学医学部付属病院、平塚市民病院循環器内科を経て、1979年から(財)心臓血管研究所付属病院
勤務。2005年より、同研究所所長。
大学卒業以後40年間、心臓カテーテル検査および治療に従事。虚血性心疾患における心臓カテーテル治療、冠動脈インターベンションに造詣が深い。